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正直不動産【おすすめ漫画感想・レビュー】

おすすめ漫画紹介vol.14 正直不動産
正直不動産1巻
目次

正直不動産の作品情報

書籍情報

タイトル正直不動産
著者大谷アキラ (著), 夏原武 (著), 水野光博 (著)
連載ビッグコミック
出版社小学館
連載開始2017年
Amazonレビュー★4.5 / 5  |  1672件(第1巻・2023年1月現在)
書籍情報

掲載情報

本作品はキャンペーンなどの際には無償で読むことができます。

2023年1月現在、正直不動産はキャンペーン等の際に、序盤の数巻を無償で読むことができます。残念ながら常に読めるアプリはComiewの調査の中では見つかりませんでした。調査時点においてはピッコマでは、一時的なキャンペーンとして序盤の3巻が無償で読める状態でした。

また、Amazonでは度々、1巻の無料キャンペーンを行なっていますのでその機会に試し読みをしてみるのも良いと思います。

正直不動産のあらすじ

Comiewタグライン

ひょんなことから嘘をつけなくなった嘘つき不動産営業、永瀬財地が、一癖も二癖もある登場人物や不動産業界に蔓延る闇に翻弄されながらも、不出来な後輩の月下と共に正直な営業スタイルで顧客の課題を解決していく

Amazon作品紹介

不動産業界の闇を曝け出す皮肉喜劇!!

営業に必要なこと以外、客に見せも教えもしないーー
そんな不動産業界に前代未聞の爆弾が、いま炸裂する!!
登坂不動産のエース営業マン・永瀬財地は
嘘を厭わぬ口八丁で売り上げNO.1を叩き出す凄腕だった。
だが、とある地鎮祭で石碑を壊して以来、
嘘が上手くつけなくなってしまった…!!
千三つと言われる海千山千の不動産業界で
かつての成績が一気に低下する中、
永瀬は、嘘が上手くつけない正直営業で苦戦するが…!?
不動産屋の裏側を全部ぶっちゃけちゃうニュー・ヒーロー、誕生。

Amazon 作品紹介より

正直不動産の心に残ったワンシーン

つ・・・月下-ーー

おまえのカスタマーファーストは・・・偽善だ。

今回に限れば・・・・・・・・・そう言わざるを得ない。

正直不動産 16巻

カスタマーファーストを標榜してお客さんに肩入れしてしまう永瀬の後輩の月下。

月下は自分が店舗を仲介して出店したラーメン屋の業績が芳しくないことに心を痛め、役に立てることをなんでもしたい、とラーメン屋のバイトを始めます。

部長の大河や上司の永瀬に釘を刺されつつも信念をぶらさない月下は、その日もラーメン屋の手伝いに足を運ぶが、そこには閉店の準備を進める店主の姿がありました。

急なことに驚き、店主を問い詰める月下でしたが、店の奥からはかつての同僚の岩沢が現れ、すでに閉店後の次の借り手を見つけたことを永瀬らに伝えます。

月下はそれを店主の裏切りだと捉え、店主を問い詰めますが、岩沢に月下のカスタマーファーストは偽善だと言われてしまいます。

月下は永瀬に助け舟を求めますが、そんな月下に嘘をつけない永瀬が言った台詞が非常に心に残りました。

なぜ、月下のカスタマーファーストが偽善だったのかは、是非正直不動産を読んで確かめてください。

正直不動産の感想

実はComiew管理人も不動産業界とは遠からぬところで仕事をしていたこともあり、最初に読んだ時にはあまりのリアルさに驚いてしまいました。今回はその観点から詳しく書いていきたいと思います。

永瀬の勤務する登坂不動産は、作中の描写を見るとおそらくは中央線沿線の三鷹駅付近にある地域に根差したいわゆる地場の不動産屋をイメージしているのではないかと思います。一定の人手のあるエリアでは、支店などがないにも関わらず10-20人の営業マンを抱える地元密着の大きな不動産会社が存在します。

中央線沿線だと学生から単身者、カップルからファミリーまで、賃貸に購入とさまざまな需要があるため、不動産業界の闇を描くという意味で都合が良いエリアだったのでしょう。

またコンプライアンスに厳しい大手不動産会社などでは基本給が高く歩合が低めに設定されることが一般的ですが、地場の不動産会社や新興の不動産会社などは基本給が新卒並みで変わらず、収入の大部分が歩合ということも往々にしてあります。

正直不動産では第4巻で報酬形態も赤裸々に描かれています。登坂不動産にいわゆる完全歩合のフルコミッションの報酬形態で新しく黒須という社員がやってきます。そこでは永瀬や月下のような社員が基本給22万円に売上100万円以上に対して15%の歩合制が敷かれているのに対して、黒須は歩合で売上の60%のみでコピーや電話代などの経費も自腹というハイリスクハイリターンの契約です。

そんな黒須はフルコミッションでもバリバリ活躍して、平均して月300万円の収入を得て青山のタワーマンションに住む超やり手です。コミッション60%だと売上500万ですから賃貸だと月に20件、売買だと月に2,3件の契約を決めるやり手の営業マンですね。

それだけの売り上げを上げるために、黒須はお客さまに対して悪どい営業をしていくのですが、嘘をつけなくなる前の自分と同じスタイルの黒須と主人公の永瀬は衝突をすることになります。

不動産営業マンは多かれ少なかれ、売上がダイレクトに自分の収入に直結していきます。そのため営業マンは時には強引な営業や嘘なども織り交ぜて話をすることがあるため、あまりいいイメージはないかもしれません。

ただし、最近はインターネットで情報が透明化していく中で、永瀬のような正直営業を売りにしていく不動産会社も増えてきたように感じます。そんなところも含めて非常にリアルで面白い作品でした。

正直不動産の著者

正直不動産は日本の漫画には珍しく、原作の夏原武氏、脚本の水野光博氏、作画の大谷アキラ氏の3名体制で描かれています。

その中では原作者の夏原武氏が一番有名かもしれません。この方、元暴力団員で、その後はアングラ系のフリーライターを経て、現在は専ら漫画原作を行なっています。扱う題材はその経験を活かした詐欺等が多く、「クロサギ」などはドラマ化もした有名作品です。正直不動産と並行して大学を舞台にMLMなどの詐欺を扱う「カモのネギには毒がある」などの漫画原作も担当しています。

そして、作画の大谷アキラ氏は、主に週刊少年サンデー等で連載をしていた漫画家で大ヒット作までは出ていないものの、自転車競技を題材にしたツール!は全8巻まで刊行されている中堅の作家の一人です。正直不動産

最後に脚本の水野光博氏は児童相談所を舞台にした「ちいさいひと」などいくつかの作品での原作を担当しています。仮説にはなりますが、原作者として実績がある夏原氏ではなくあえて脚本担当を置いたのは、夏原武氏が現在、複数の作品を担当しており多忙な中で、しっかりとストーリーを立てられる人を夏原氏とは別で立てようという思惑が働いたと考えられます。

その結果としてテーマ、ストーリー、絵と全てが噛み合った素晴らしい作品が生み出されました。

正直不動産はこんな人におすすめ

また、2022年にはドラマ化し、話題になった作品なので、この作品を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

この正直不動産は、職業系漫画としては非常にリアリティがある作品です。営業力一本で大金を稼ぎ出せる不動産営業に興味がある方だけでなく、住宅の購入や賃貸を検討している方についてもその業界の裏側を知るという意味でとても勉強になるはずです。不動産という大きな買い物においては知っているか・知らないかで大きく損をしてしまう可能性もありますので、これから人生で不動産に関わる方にはぜひ読んでほしい作品です。

ストーリー、絵共に完成度も高く、癖もない漫画ですので多くの方が無理なく楽しんで読むことができると思います。

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